浅草寺の写経供養会の帰りに仲見世の金龍山で切山椒を買った。この店の歴史は古く、初代桔梗屋安兵衛が延宝三年に伝法院前に店を出し、のち江戸時代に上野輪王寺宮より、「金龍山浅草餅」の親筆を与えられた(東京しったかぶり 地名の由来東京23区辞典より引用)というから浅草で300年以上も続く老舗中の老舗である。金龍山と言えば揚げまんじゅうが有名だが、知る人ぞ知る切山椒(きりざんしょ)の名店なのだ。ちなみに揚げまんじゅうは東京大空襲で消失した本堂が再建され現本堂ができた年より売り出したという。揚げまんじゅうは別の機会に詳しく書くとして今回は切山椒がメイン。そもそも切山椒自体知らない人が多いかもしれないが、上新粉、砂糖、粉山椒で作られた餅菓子のことで、酉の市でも舟和の芋ようかんとともに見かけるはずだ。
ここは真空パックは扱っていないし、防腐剤などが入っていないので日持ちがしないから当日食べるのが原則だが、賞味期限は製造日より2日なので、翌日までなら少し端のほうが硬くなるが大丈夫だ。しかし、他家へのお使い物にするのであれば必ず当日手渡して当日食べていただけることを心がけるべきで、地方へのお土産には適さないのは、揚げまんじゅうと同様だ。わたしも地方へのお土産にする場合は、東京駅や羽田に行く前に立ち寄ることにしているが、これは一度食べて味を占めた人のたっての希望と言う場合のみ渋々早起きをするのである。そういう意味でも心してお土産にしないと必ず次回もリクエストされること必至だ。1000円と600円の2種類で写真は600円のもの。白、ピンク、鶯、茶の4色で16本入り。ほんのり甘い餅に山椒が香り食感がよく、あんこが入っていないのであんこが苦手な人でも美味しくいただける。
先にも書いたがここ金龍山は揚げまんじゅうも人気商品なのだが、箱売りが原則でばら売りはしていない。なぜかというと金龍山の揚げまんじゅうは冷めても美味しいから持ち帰って食べるもので、歩きながら門前で食べるものではないのだ。むかしは10個入りが最小単位だったが、近くにばら売りの店ができたからなのか核家族化への配慮なのか現在は6個入りが最小単位になっている。濃いお茶を飲みながらいただく、冷めてはいるがほんのり熱の残った揚げまんじゅうを一度ご賞味あれ。甘みを抑えたまろやかなこしあんはヤミツキになるのだが、今回はあんこものは別土産を買ったので切山椒のみ購入した。
金龍山
浅草仲見世伝法院正門前
台東区浅草2-3-1
03-3841-9190
03-3845-2324