今年も10月28日は浅草寺の写経供養会に参列した。毎年10月20日までに納められた一年分の写経を本堂ご宝前に奉安し十種供養という法要が行われる。今年は50回目の供養会ということで、自分のなかでもひとつの区切りとなる年である。昨年の同日のブログにも第49回写経会のことを書いたのだが、それから一年、いろいろなことがあった。毎年一巻観音経を奉納しているのは、特別な願い事があるからではなく功徳のためだと思っている。もちろん願い事があった時期もあるが、長い年月の間に自分なりの行事になっている。『百萬巻奉納写経』のいわれなどは昨年書いたので省略する。
10時、12時、14時と3回行われるうちの最後の供養会に参列した。受付をすませ十種供養散華(今年は瓔珞)とお供物をいただき、すでに満員の本堂に上がる。きょうは、日曜日ということもあり外は大変な人で仲見世を避けたが浅草駅から本堂にたどり着くまで時間がかかった。
今回は御宝前に向かって左手の奥に進み法要が始まるまで静かに待つ。供養会の前に今年奉納された写経の数が発表されたがマイクの調子が悪くよく聴き取れなかったのだが、百萬巻写経行の観音経の総数が70万を越えたとのことであったから、およそ1萬2千くらいだろうか。百萬巻写経行以外のスタイルで奉納された観音経と般若心経の奉納数も聴き取れなかったが、般若心経は6万程度で総数的にはいちばん多い。
観音経(法華経の中の普門品)の写経をやっているところはそれほど多くない。般若心経に比べると観音経は長い。浅草寺では毎年4月~10月まで伝法院で『写経の会』を開いており法話と写経の実修が行われている。わたしは、百萬巻奉納写経のセット(1部500円)を購入して自宅で写経して持参または郵送している。写経セットの中に奉納証となる葉書が入っているので納経するときに同封すると通算巻数を振って返送され、以降は浅草寺教化部より供養会の案内が送られてくる。写経供養会や写経会への問い合わせは浅草寺教化部へ(代表:03-3842-0181)
この一年間に納められた写経は御宝前に奉安され、ときどき散華を投じながらのお経が読まれ、浅草寺幼稚園の園児による稚児行列で十種供養が行われる。十種とは、華、香、瓔珞、抹香、塗香、焼香、幢蓋、衣服、伎楽、合唱を言い、これら十種の供物をひとつずつ稚児が御宝前に捧げるのだ。毎年参列者に十種の散華が授与されるのだが今年の散華は瓔珞だ。ちなみに瓔珞とはで仏や菩薩の飾りとされる装身具のことである。参列者にはほかに記念品として筆が後日郵送される。
滞りなく写経供養会が終了し、今年は御宝前での焼香礼拝はせずに、愛染明王、裏の部屋の観音さま、最後にお不動さんにお参りし、次回の写経セットを1部購入し本堂をあとにした。何ごとも形よりも気持ちが大事ということでそういう場合もありだ。