毎年10月28日は浅草寺の写経供養会があり、今年は49回目の供養会だ。毎年10月20日までに納められた写経の供養をするわけだが、なんでわたしが写経供養会に行くかというと、毎年納経しているからにほかならない。
浅草寺は東京大空襲で本堂が消失し、昭和33年の現本堂の再建を機に観音経の百萬部観音写経行を目指していて、現在68万巻を越え、今年一年に納められた観音経が1万2千巻というから、ざっと今のペースで行くと百万巻には、まだ30年くらいかかる計算になる。ちなみに般若心経の納経巻数のほうが断然多く、今年一年の納経数は6万強ということだ。
当日は土曜日ということもあって、仲見世はまっすぐに歩けないくらい混んでいたが、写経供養会自体は、盛況ではあるが全員が本堂に入れるくらいの人数で厳かに行われた。わたしは、10時、12時、14時と3回行われたうちの、最後の供養会に参列した。
受付で十種供養散華(今年は香)とお供物をいただき本堂に入る。2時まで少し時間があったので、隣のお不動さんとか裏の観音さまをお参りしようかと迷ったのだが、写経供養のあとにすることにした。
しばし待ち、琴の伴奏で坊主が入場する。この一年間に納められた写経は御宝前に奉安されており、ときどき散華を投じながらお経が読まれる。
続いて浅草寺幼稚園の園児による稚児行列で十種供養が行われた。十種とは、華、香、瓔珞、抹香、塗香、焼香、幢蓋、衣服、伎楽、合唱を言い、これら十種の供物を御宝前に捧げるわけだ。
滞りなく写経供養会が終了し、御宝前で焼香礼拝し、愛染明王、裏の部屋の観音さま、最後にお不動さんにお参りして本堂を出る。
裏の部屋の観音さまというのは、もちろんご本尊の聖観音菩薩ではない。ご本尊は公開されることのない秘仏であるので念のため。