讃岐うどんでそば談義

わんこがうどんが食べたいと言いだした。わんこのうどんというのは、当然関西風のうどんなのだが、わたしは関西風のうどんはあんまり好きじゃない。道頓堀の有名店今井に連れて行ってもらったことがあるが、そのときはうどんでなくそばを頼み、タケノコの入った季節替わりのそばと点心のセットで結構お高くてびっくりした。
まずくはないのだが、好みの問題でわたしは、暖かいそばは角萬の肉南、尾張屋の天ぷらそば、志な乃のけんちんそばくらいしか食べないのでしかたない。実は結構なそば好きなのだ。関東ではそば屋、関西ではうどん屋だと思っていたけど、関西にもおいしいそば屋もある。だけど、うなるほどおいしいそばというのは、そうは食べられない。好みもあるからね。関西では生粉打ちのところが少なく、8割か9割が主流だ。まあ、それもそれでおいしいし、そばは生粉打ちと決めつけるわけではない。要するにおいしければいいわけだ。そういう意味では堺宿院のちく満の温盛りは絶品だ。
それから、これはわたしのそばポリシーだが、そばごときに大金を払うのはいやじゃ。交通費に5000円かかってもいいが、そば1食に3000円以上は払いたくない。同じ店でもそばはおいしいがうどんはいまひとつとか、そばでもメニューによっておいしかったり、好みでなかったりする。だからわたしは、上記の店でも角萬のひや以外は、同じものしか食べない。尾張屋は天ぷらそば、志な乃のけんちんそばだ。ちく満はそもそも温盛りしかおいていない。以前飯田橋にお勤めしていたとき、仕事先の人に志な乃で鍋焼きうどんをご馳走になったことがあるが、ちょっと損した気分になった。もちろんまずいわけではないのだが。神田やぶそばもいったい何枚食べたら食べた気になるのかと思うとだめだ(盛り4枚は必要)。わたしだったら迷わずまつやへ行く。
それから、大塚の一文字。最近行ってないのだが、あそこは鴨せいろだ。あのぎとぎとの鴨汁でそばを2枚食べるとすごい満足感が味わえるのだが、他店の鴨せいろが物足りなくなってしまうのは困りものだ。人間ってぜいたくだ。ついでに、もう一軒。浅草ひさご通りのつむぎだ。ここはそばもおいしいが、おすすめは鍋焼きうどん。下町らしい濃いめの醤油味で野菜類もたくさん入っていてこれまた満足感が味わえる。酉の市のあとの定番。
それから以前知り合いのバスの運ちゃんに教えてもらった三島の江戸変りそば飯嶋もおいしかった。ただ、その後わざわざ東京から三島まで行くほどは食べたくはならない。二八から普通の更級、さらにこの店の売りの変わりそばは数種類あって季節ものもあったと思った。ただ、注文がややむずかしいから、そばに詳しくない人は、お姉さんによく聞いて注文するほうがいい。知ったかぶって適当に頼むと損をする。