たいしたことなかった今治のヤキトリ

今治は日本一の焼き鳥の街ということで一度くらい試してみるのもいいかなとも思った。焼き鳥屋だから食事だけというわけにもいかないだろうけど。シャッター通りから見つけた山鳥(さんちょう)という店に引き寄せられるようにして入ったのだが・・・。入ったとたん、なんだか変な感じ。すでに数組の客はいるので営業しているのだろうが、年配の女将さんと思われる女性が不審な目であたしの品定めをしているようす。思わず「営業してますよね?」と聞くと「何の用ですか」的返答が返ってきた。「飲食するために来ているんですが」と思わず、へんてこりんな応えを返して、カウンター席に座った。

焼き鳥の山鳥

すかさず「中ナマ」と飲み物を注文してメニューを見るが、めんどうなので、「適当に焼いてください」とお願いした。がここで信じられない予想外の返事が返ってきて、あたしは唖然としたのだった。「ひと皿3本で300円からなので自分で注文してくれ」と。そうか、ここは東京ではないのだ。超ど田舎の店に来たことを思い知らされる。まぁいいでしょう。一応予習をしてきたのであるよ。

今治の焼き鳥は焼き台を使うのではなく鉄板で焼くのが特徴で、まず皮を注文するらしい。串には刺さっておらず皿に無造作に盛られちぎりキャベツが添えられている。お味はタレの味が濃くて素材の味はよくわからないが、カリカリとしてよい食感だ。お酒が進むお味付けで美味しいのだがひとりで1皿食べるのは飽きるかな。

鶏皮

その後適当に3皿~4皿ほど頼んだがどれも同じでタレの味ばかりが強い。焼きも鉄板のため脂っこくて明日の胃の具合が心配なのでほどほどにしよう。そして、多くの客が頼んでいた牛ネギを頼んでみてびっくり(¨;)ネギがネギがなんとタマネギなのだ。

タマネギの牛ネギ

串に牛とタマネギが交互に刺さっている。タマネギのネギマは生まれて初めての経験だ。肉南蛮のネギがタマネギだった渋谷の金王庵以来の驚きであった。しかし、タマネギ自体は甘くて美味しかったのでよしとしよう。後日談だが他の店でネギマを食べたわんこにこの話をしたところ自分が食べた店は長ネギだったと言っていたので、今治のネギマがタマネギであるということではなくてあくまで山鳥のオリジナルのようだ。牛ネギは1皿2本。しかし、ネギといったら長ネギでしょう。タマネギであるならばタマネギマ、または牛タマネギとするべきだろう。

この時点でお腹いっぱいなのだがこれを食べずに今治を語れないというせんざんきを最後にお願いした。今治のヤキトリは「皮」に始まり、「せんざんき」で終わるというのが通らしい。もっともこの通というのは当てにならないが。

今治名物せんざんき

「せんざんき」とは鶏の唐揚げのことで、今治独特の呼び名である。その由来は諸説あるが中華料理由来の呼称であることは間違いないだろう。昼間行った今治大丸の総菜売り場では「せんざんき」ではなく普通に「唐揚げ」というラベルが貼られていたので、唐揚げでも通用するようだ。出てきたものは予想通り濃い味のタレでしっかり味付けされた唐揚げだった。鶏はひな鳥だが衣が厚くてかたい。熱いのを2つ食べたら口の中が荒れてしまった。

以上焼き鳥日本一の街今治の焼き鳥はたいしたことなかったというのが印象。四国は他県でも鶏料理が有名だが丸亀の一鶴の骨付き親鶏の焼き鳥みたいにほかでは味わえない料理ではなく単に居酒屋の料理としか思えなかった。今回行った山鳥はカウンターの下にいけすがあり、ご主人が本格的な割烹もやるようだった。ただ、いけすの魚を取り出すときにはカウンター席の客を立たせるなど常連でないとめんどくさい。女子がひとりで来店するなんてのは今治の居酒屋では想定していないのだろうから、入店したときの感じ悪さもうなずける。お会計は中ナマ1杯と焼き鳥6皿くらいで3000円弱だったと思う。お会計をお願いすると合計金額を書いたメモ紙を渡され、お金を払っても領収証もレシートも出てこなかった。そのまま店を後にしてホテルへ向かった。