本日わんこをさそって実に久々に蛸の壺に行った。夕方5時を少し過ぎたところだったが、カウンターの一番奥の2席のみが運良くあいていてかろうじてセーフだった。主に関西で居住するようになった今では、いつでも行けるような気がして神戸に行っても素通りすることが多かったので、ほんとうに久しぶりだ。わんこは今日がはじめてですが、二人だといろいろ頼めるので楽しみだ。蛸の壺は神戸元町近くにある明石焼きと明石近海の蛸を使った創作料理のお店だ。
最初に頼んだたこわさび。たこの食感がたまらず、あっという間に完食。たこわさびってこんなんだったんだ。生だこうまい。蛸酢はお造りみたいでわさびがよく合う。
下の焼きタコは多くの人が注文している通り超おすすめです。塩でもんで(多分)網で焼くだけで、ふっくらおいしくなるのは不思議。明石のタコっていったいなんだと思うかも。お料理はハイレベルだけど、お値段はリーズナブル、そして雰囲気はカジュアル。人気なわけだね。
最後はもちろん玉子焼き。以前は明石焼きは手前で焼いていたが、いまは奥に焼き台がある。スタッフの方も増えてカウンターやテーブルの感じも変わったが、ふわふわの玉子焼きを出し汁の中で割っていただくのはずいぶん久しぶりながらおいしさは変わらない。以前はご主人が焼いてくれたが、今回は若いスタッフの方が焼いてくれた。
東京でもいまは明石焼きはめずらしくはないけれど、やっぱり別物だ。そして、タコ飯のおにぎりは、毎度早い時間に売り切れてしまうので、テイクアウト用に先に確保しておいたものを店内でいただいた。出汁と醤油の香りが絶妙で、食べ損なうと絶対損した気分になる。
この店は、阪神淡路大震災より以前に偶然見つけた。あたしは、裏通りが好きなのでやたら裏通りとか細い路地を歩く。すると意外な名店に出会うこともある。当時最後にお勤めする出版社に移る前だったと思うが、夏休みにひとりで甲子園に高校野球を見に行くのが恒例だった。試合が終わって阪神電車に乗るとき梅田方面は混むので三宮方面の電車に乗る。そして南京町や元町あたりで買い物したり買い食いしたりお茶を飲んだりして時間をつぶして改めて大阪方面に戻るか、芦屋あたりでもう一泊するというのがおきまりのコースだった。
三宮から元町方面に歩くことが多かったのだが、何度も同じ道を通っても仕方ないので、一本はずれた裏通りを歩いていたら蛸の壺という看板を見つけた。当時は居酒屋というより明石焼きの店という感じで確か道をはさんで左右に店があったような気がする。女子ひとりでも入れる雰囲気だったのか、あたしにはバリアがはられていなかったのかどちらかわからない。ご主人との会話も魅力で、それから毎年夏になるとこの蛸の壺に引き寄せられていた。そしてあの震災。数年後おそるおそる店を訪ねたら、少しようすが変わっていたが同じ路地に健在だったときはホットしたものだ。
現在は火曜日が定休だが、時々変わるみたいで、祭日があると半日お休みの日があったりするので遠方から行く場合は電話(078-078-392-7256)で確認して行ったほうがよい。