酉の市の宵宮祭が始まるまで時間があるので、ふらふらと国際通りを浅草方面へ歩きながらどこで食事をしようかと思案するも寒いのでひさご通りに入り込む。ひさご通りの名前の由来は、今はなき浅草公園ひょうたん池にちなんで名付けられたらしい。もとは50店舗ほどが店を構える商店街だったそうだ。現在はシャッターが閉まった店も多くちょっとひっそりとしているのだが、つむぎという手打蕎麦の店がある。昼間の時間だとついつい竜泉の角萬に足が向いてしまうのだが、すでに営業時間が過ぎているこの時間(午後8時半少し過ぎ)であるから、迷わずつむぎに向かう。つむぎも21時がラストオーダーなので急がなくては。
店内に入ると客はいなくて、すでに若だんなも片付け体制に入っているものの、不意をつかれたようだ(笑)以前おかみさんが天ぷらの火は少し早めに落とすと言っていたが、一応「鍋焼きうどん」と言ってみた。何とかセーフだったようだ。閉店間際に申し訳ないと思いつつも、ここの鍋焼きうどんは絶品なんです。もちろんそばもおいしいのだが、酉の市のときには、必ずつむぎの鍋焼きうどん(冬季限定)を食べて温まるのが恒例だ。
店内は向かって左に小上がり席がありその奥のガラス張りのところがそば打ちルーム。そばもうどんもすべて手打ち。食べれば納得します。空いていればあたしはいつもテーブル席に座りテレビを見ながらオーダーした鍋焼きうどんを待つ。テレビがあるのも家庭的でよいですわ。鍋焼きうどんは結構お時間がかかります。
つむぎの鍋焼きうどんの特徴はエビの天ぷらもボリューム満点ながら、白菜や小松菜などの野菜がたっぷりと入っているのと、江戸っ子好みの濃い目のつゆ。運ばれてきてしばらくはご覧のようにぐつぐつと音を立てている。
手打ちのうどんは煮込んでもこしがあってつゆとよくなじんでいる。そばも食べたいとこなのだが、結構大食いのあたしでも二品は無理なボリュームだ。明日は酉の市帰りの客で混み合うから早く店じまいしたいところだろうが、熱くて食べるのに時間がかかってしまった。食べ終わる頃に女将さんが戻ってきたので、閉店時間が過ぎていることに気づき急ぎお会計を先にしようとしたが、全然急かされない。少し寂れてしまっているが、古くは浅草寺から吉原遊郭へ通じる沿道として繁栄し、粋がコンセプトのひさご通り商店街の名残を見ることができる。
本日最後の客であるあたしは、女将さんは飴を手渡され店を出る。閉店時間過ぎているので、暖簾ははずされている。ひさごは、10年ほど前の酉の市の帰りに偶然見つけたお蕎麦屋さんだ。寒い日だったので鍋焼きうどんを注文した。それ以来ここの鍋焼きに魅了されて通い続けている。現在は在京でないためあまり頻繁に通えないが、また来年の酉の市にも暖簾をくぐらせていただきます。
手打蕎麦つむぎ
東京都台東区浅草2-22
03-3844-8713
OPEN 11:30~21:00
定休日 火曜日